2015年11月3日火曜日

多摩湖の香り

2015年11月2日


多摩湖の香り












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多摩湖の産業

6-2 多摩湖の幻の地酒「吟雪」

多摩湖の南側、青梅街道の大曲り交差点近くに渡辺酒造があります。

明治10(1877)年、渡辺酒造の初代創業者、渡辺市太郎は、封建時代からの醤油醸造に加えて新たに酒づくりを始めました。

新しく作られた清酒の名前を決めるため一族が寄り合いましたが、窓の外にはしんしんと雪が降り続いていたそうです。新しい酒を祝うような汚れのない純白の雪を眺めながら、「雪華」と名づけられたとのことです。その後まもなく、さらに純白の雪を味わうという意味合いから、「吟雪」と変わりました。

渡辺酒造には小さなショールームがあり、予約すれば工場見学もさせてもらえました。

なお、東大和市酒販組合では、平成13年から「吟雪」の東大和市地域限定版「多摩湖の香り」を企画し、市内の酒店で販売しています。

<渡辺酒造:武蔵村山市中藤1-15-1 電話042-562-3131>


その後、平成19(2007)年9月30日、残念なことに渡辺酒造は、廃業してしまいました。「吟雪」の出荷量は、昨今の焼酎やワインの人気に押され、最盛期の半分ぐらいにまで落ち込んでいたそうです。狭山丘陵の伏流水を使った名酒「吟雪」も、日本酒の低迷には逆らえず、姿を消すことになりました。

青梅街道沿いにそびえる赤レンガの煙突は、地域のシンボル的存在でしたが、敷地を売却するため、その保存もむずかしいようです。消えゆく味を惜しみつつ、郷土の名酒「吟雪」は、創業130年の歴史に幕を閉じました。


※ 生まれ変わった「多摩湖の香り」

渡辺酒造が廃業になったことから、「多摩湖の香り」は、東村山市にある「金婚」豊島屋酒造で、その製造が引き継がれることになりました。

豊島屋酒造では、狭山丘陵の南東麓の地下150メ-トルから汲み上げた富士山系伏流水を仕込水に使用しています。さらりとして柔らかな味わいのお酒に仕上がりました。

初代豊島屋十右衛門は、江戸時代の慶長元(1596)年、神田鎌倉河岸に店舗を構え、お城の普請で集まった武士、職人、商人たちをお客さまに、酒屋「豊島屋」を始めました。また豊島屋十右衛門は、夢枕で紙雛様から白酒の製法を伝授され、非常に美味な白酒ができて評判になりました。「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と詠われるほど、豊島屋の「白酒」は江戸の名物となったそうです。

初代から現在まで、明治神宮に御神酒「金婚正宗」の献上を続け、結婚式場明治記念館においても結婚式の鏡開きに使用されているそうです。また、白酒は宮家へ献上しているそうです。

<豊島屋酒造:東村山市久米川町3-14-10 電話042-391-0601>





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